軌間 レールの幅を考える
日本において標準軌といえる軌間は1067mm軌間となっていて、世界的な標準軌である1435mmと比べると狭軌となっています。これは日本
が鉄道を敷設した時に、当時の輸送量やコストを勘案して決定されたといわれ、後に幾度か今より輸送力の高い1435mmの標準軌に改軌する計画が出ては消
え、出ては消えを繰り返し、JR在来線は現在に至るまで新幹線に直通する一部を除き1067mm軌間となっています。
しかし大手私鉄の一部には標準軌である1435mmや少数ながら1372mm軌間を採用している事業者が存在します。この違いは路線設立の歴史的経緯によるものです。
1067mm狭軌 | 東武鉄道 西武鉄道 東京メトロ(※メトロ1) 東急電鉄(※東急1) 京王井の頭線(※京王1) 小田急電鉄 相模鉄道 名古屋鉄道 南海電鉄 近畿日本鉄道(※近鉄1) 神戸電鉄 西日本鉄道貝塚線(※西鉄1) JR在来線(※JR1) |
1435mm標準軌 | 京成電鉄 京浜急行 京阪電鉄 東京メトロ(※メトロ2)阪急電鉄 阪神電鉄 山陽電鉄 近畿日本鉄道(※近鉄2) 西日本鉄道本線系統(※西鉄2) JR新幹線(※JR2) |
1372mm馬車軌間 | 京王電鉄京王線(※京王2) 東急世田谷線(※東急2) |
762mm特殊狭軌 | 近鉄内部・八王子線(※近鉄3) |
※メトロ1 日比谷線 東西線 有楽町線 半蔵門線 南北線 副都心線が採用。
※メトロ2 銀座線 丸の内線が採用。
※東急1 東横線など鉄道線が採用。
※東急2 軌道線の世田谷線が採用。
※京王1 元帝都電鉄系の井の頭線が採用。
※京王2 元京王電軌系の京王線系統が採用。
※近鉄1 南大阪線系統が採用。
※近鉄2 大阪線 名古屋線 奈良線 京都線 東大阪線系統で採用。
※近鉄3 内部・八王子線が採用。
※西鉄1 天神大牟田線系統で採用。
※西鉄2 貝塚線で採用。
※JR1 在来線系統で採用。
※JR2 新幹線と新幹線が乗り入れる在来線(奥羽線の一部 田沢湖線)が採用。
1067mm軌間を採用した事業者の多くはかつて貨物営業を行っていました。比較的関東に多く見られ、東
武や西武は地域貨物輸送のほか石灰石などの鉱石輸送を行い、小田急や相鉄は河川の砂利輸送を貨物輸送の主体としていました。また相鉄は近年まで米軍厚木基
地の燃料輸送も行っていました。名鉄と南海は港湾と工場などの貨物輸送を行っており、国鉄との連絡輸送だけでなく港湾地区の臨海鉄道との連絡もありまし
た。これら前述の事業者は貨物輸送全盛時に多くの機関車を保有していて、貨物輸送廃止後も一部の事業者では機関車を事業用に残していたり、他社に譲渡して
現存する例もあります。
近鉄南大阪線系統は大阪線や奈良線とは元々設立した会社が異なっていて、当初の事業者は関西本線や和歌山線を介して貨物輸送を行うことを目的としていた
ために、1067mm軌間を採用しています。またかつては伊勢中川以東の名古屋線や山田線、鳥羽線、賢島線など名古屋近郊の近鉄の路線でも1067mm軌
間を採用していましたが、大阪線との直通を行い利便性を向上させる目的で1435mm軌間に改軌されています。西鉄も標準軌の天神大牟田線と狭軌の貝塚線
と軌間が存在しますが、これも両線の開業当初の事業者が異なっていて、貝塚線では貨物輸送が行われ天神大牟田線ではインターアーバン重視なため軌間が異な
る結果となりました。こちらは本線系統である天神大牟田線と貝塚線は直接繋がっておらず、運用的には切り離されています。京王井の頭線も他線と同じ様に京
王線系統とは開業時の事業者が違っていたために異なる軌間となっていますが、こちらは井の頭線が小田急系列の会社によって建設されたためで、貨物輸送を目
的にしたものではないようです。
神戸電鉄は開業当初には貨物営業は行っていませんでしたが、三田~有馬間を結んでいた国鉄有馬線が戦中に廃止され、同区間を運行していた貨物列車を肩代
わりする形で戦後貨物営業を始めました。ですので神戸電鉄が貨物輸送をする目的で狭軌を採用したわけではなく、阪神や阪急と違い官営鉄道線と競合しないの
で地方鉄道法準拠で建設されたので1067mm軌間が採用されたようです。ちなみに地方鉄道法は前身法である私設鉄道法と違い1067mm軌間以外の軌間
も認めていますが、基本はあくまで1067mm軌間と定められています。
標準軌である1435mm軌間を採用した大手私鉄は関西が主体となっています。これは関西私鉄は官営鉄道
と競合する場合が多く、また開業当時はこうした官営鉄道との併走する区間での鉄道事業法(当時は私設鉄道法)による新規免許取得が困難でしたが、道路上に
線路を敷設する軌道法(当時は軌道条例)準拠の軌道なら路線を敷設でき、しかも私設鉄道法によって規定されていた1067mm軌間以外の採用を認めないと
いう条項が軌道条例では規定されていなかったので、高速運転や安定性に大きな利点がある1435mmの標準軌を採用したものと思われます。軌道条例に則っ
て大阪~神戸間に路線を開業した阪神が近距離都市間高速鉄道の先駆けとなり、その後阪急や京阪、山陽、近鉄など官営鉄道線と併走する事業者が続々と標準軌
を採用して開業しました。またこれらの経緯からと日本の官営鉄道の1067mm軌間の採用は失敗だったという意見からか、独立した社線内だけで運行が完結
する路面電車や地下鉄などでは1435mmの標準軌を採用する例が多くみられます。
関東でも国鉄/JR線と隣接する京浜急行も早くから標準軌を採用していて、戦前の1933年に馬車軌間の1372mmから1435mmに改軌していま
す。他には京成も現在1435mmを採用していますが、これは後述の理由により京急に合わせたもので京成線内の事情によるものではありません。
狭軌から標準軌への改軌は近鉄で多く見られ、前述の近鉄名古屋線系統ではきわめて広範囲で改軌が実施されました。この準備期間中に大惨事を引き起こした
伊勢湾台風が東海地区を襲い。近鉄も大打撃を受けましたが、この災害による復旧工事を逆手に取り復旧と同時に改軌を行い名古屋線と鈴鹿線を標準軌とし、名
阪間や名伊間の直通運転を開始しました。後に1970年に宇治山田~鳥羽間を結ぶ鳥羽線を開業して鳥羽~賢島間と結ばれるようになりこの志摩線も標準軌へ
と改軌されました。また762mmの特殊狭軌区間であった近鉄湯の山線は、終点が温泉地と御在所岳の登山口であるために観光需要が見込まれて1964年に
762mmから1435mmの標準軌へと改軌され名古屋線系統から特急などの直通運転(現在はシーズンのみ運行)が行われるようになりました。近鉄ではこ
の他に奈良の田原本線と天理線が、前者は1067mmから後者は762mmから1435mmへと改軌されています。
関東での大きな改軌工事は京成の1372mmから1435mmへの改軌が挙げられます。これは都営地下鉄浅草線開業時に西端の泉岳寺側では京急が、東端
の押上側では京成が接続し、両社が都営浅草線へと乗り入れを行うこととなりましたが、当時京急は1435mmで京成は1372mmと軌間が違う状態となっ
ていて、このどちらかに軌間を統一しなければならないことになり協議の結果、1435mmに統一し京成側が改軌する事となり、1959年に京成と当時直通
運転を行っていた新京成電鉄が改軌工事を実施して標準軌化されました。これは少数軌間である1372mm軌間を無くしたいという意向もあったとされていま
すが、実は京急も開業じは日本初の標準軌鉄道として1901年い一旦開業しながらも1904年に馬車軌間である1372mmに改軌して、1933年に
1435mmへと再改軌されています。ここで改軌されていなければ都営浅草線も1372mm軌間で開業して、京成も改軌せずにいたかもしれません。そして
新京成は1067mm軌間で開業した後に1953年京成にあわせて1372mmに改軌し、僅か7年後の1959年に1435mmへと再改軌しています。
新幹線では標準軌の採用と共に在来線寄りも大きな車輌限界を採用しているため、標準軌を採用している私鉄事業者でもJRよりも大きな車輌限界を採用して
いると思われがちですが、1067mm軌間の鉄道における車輌限界とあまり差はなく、路面電車として開業した経緯がある場合、標準軌ながら狭軌路線よりも
小さい車体を採用している例すらあります。また日本の国鉄/JRの車輌限界はぎりぎり一杯にまで大きくしている事もあり、標準軌を採用している欧州の国際
規格よりの若干小さい程度となっていて、これが標準軌大手私鉄との車輌限界の差があまり無い理由の一因となっています。
余談ながらJR東日本では新幹線を在来線の区間を改軌などの改良を行ったうえで直通運転を行う、新在直通運転を1992年に山形新幹線にて、1997年
に秋田新幹線が開業して、国鉄/JRにもようやく在来線に標準軌区間が誕生し、新幹線区間に対応した400系やE03系の他に715系や701系といった
一般車に1435mm軌間の車輌が導入されました。
京王電鉄京王線が採用している1372mm軌間は採用数としてはかなり特異な軌間で、世界的にもあまり例
がないものといわれ、他の国ではイギリスのスコットランド地方くらいといわれています。日本では明治に東京馬車鉄道がこの軌間を採用しましたが、これは開
業の際に輸入した車輌の軌間が1372mmだったためとされています。東京馬車鉄道はその後電化されたうえで公営化されて東京市電を経て東京都電となり、
現在も現存している都電荒川線もこの1372mm軌間となっています。また東京公営軌道以外で1372mm軌間を採用した事業者は多くが東京都営交通を意
識したもので、現存する京王は開業当初に東京市電に乗り入れるために同じ軌間を採用し、同じく砂利輸送で都電との乗り入れを行っていた玉電やその忘れ形見
である東急世田谷線、現在は標準軌に改軌された京成や京急も都電への乗り入れを視野に入れたものでしたが、現在は1435mm軌間の標準軌に改軌されて、
両社とも当初とは違う形ながら都営交通に直通運転を行い、山手線内側の都心部に乗り入れています。1972年に全廃された横浜市電は近隣市営交通であった
都電との互換性を意識してこの軌間を採用されたものと思われます。
横浜以西では1372mm軌間の採用例は無く、首都圏以外では函館市営の路面電車が唯一の採用例となっていますが、これは東京馬車鉄道の技術協力によって開業したためで、その後幾度か都電の払い下げの車輌が函館市営に導入されています。
京王線も過去に改軌の話は持ち上がりました。都営地下鉄新宿線開業時に京王線が相互直通運転を行う事となったのですが、この際京成の例に倣って標準軌へ
の改軌が提案されました。しかし改軌工事に伴う列車の運休などによって、一時期的にせよ輸送力が大幅に低下するのと巨額の工事費が掛かるために断念されま
した。また京成と違い京急のような軌間の違う相互乗り入れ先の事業者も無く、改軌の必然性も無かった点も1372mm軌間で残った理由といえます。こうし
て民営高速鉄道唯一の馬車軌間鉄道が現在にまで残ることとなりました。
762mm軌間など日本で標準的な1067mm軌間よりも狭い軌間を特殊狭軌と呼称しています。日本では
762mmのほか914mmや610mmが軽便鉄道として多く存在しましたが、これらは地方交通として整備されたものが大半で、大手私鉄傘下の路線には名
鉄と近鉄の一部に762mm軌間の路線が存在し、戦後まで残ったのは三重県下の元三重交通路線の支線系統だけでした。このうち湯の山線は前述の通り
762mmから1435mmに改軌され、北勢線は採算悪化から三岐鉄道に譲渡され、残るは内部・八王子線のみとなっていて、この2路線も廃止或いはバス専
用道路運行によるBRT化が提案されています。こうした特殊軌間の鉄道は車体や設備が小さいためにどうしても輸送力が低くなってしまうので、利用客が増え
れば改軌など設備の大きくする改良が行われ、逆に利用客が少なければ廃止される可能性が高くなり、何とか現状を維持できたとしても老朽化がが進行すると、
他路線との互換性がほとんど無い設備の更新に多大な費用が掛かるので、普通に残るのは難しいといえます。
繋いで離してくっつける 連結器
鉄道は基本的に複数の車輌を連結して運転しています。現在大手私鉄では1両だけの単行運転は行われておらず、東急世田谷線が2両一組の連接車として単行運転に近い形で運行されているくらいで、他は必ず2両以上連結されて運行されています。
日本に鉄道が開業した当初から機関車が客車・貨車を牽引する形をとっていたので、既に連結器は存在していました。この頃はイギリスの鉄道を範としていた
ので、欧州で標準的であったリンク式連結器を使用していました。この連結器は構造が簡単なのですが、強度が低く重量列車の運用には適さない上に連結や解放
が非常に面倒であるばかりか、作業時には車輌間に係員が入り込まなければならないため危険が伴いました。こうした事態を解消するために日本ではアメリカの
技術指導下で鉄道が敷設されていた北海道で採用されていた自動連結器に着目し、日本の標準的連結器をリンク式から自動式に変更する計画が立てられ、1925年の7月に丸一日をかけて一斉に交換するという大胆な工事が行なわれ、以後は自動連結器が標準的な連結器となりました。
自動連結器は構造が簡単な上に連結解放も簡単で1920年代以降の日本の鉄道では多くの鉄道会社で採用されてい
きました。しかしながら連結器間の遊びが大きく、加速減速時にこの遊びが衝撃の原因となり旅客車では乗り心地の観点から大きな問題となりました。特に電車
では動力車が編成内の複数の箇所に存在して引張力と推進力両方が発生するので、乗り心地は更に悪化してしまいました。このため電車には密着連結器が採用さ
れるようになりました。これは名前の通り連結器間が密着して遊びを無くした連結器で、1920年代後半には既に私鉄と国鉄双方で試験採用が始まっていたこ
とから、いかに乗り心地の悪さが問題視されていたかがわかります。密着式連結器は自動連結器とは互換性はありませんが、機関車や客車・貨車と連結をしない
電車の標準的な連結器として私鉄、国鉄共に急速に普及していきました。こうしてみると自動連結器は密着連結器に比べてっ店が多いようにみえますが、旅客車
輌では改善すべき点であった連結器間の遊びが機関車牽引の特に重量貨物列車では起動時の車両を段階的に引き出す事につながり、車両の抵抗が小さくなって機
関車の負荷が少なくなるという利点もあります。
密着式連結器は自動連結樹の欠点を補ったものでしたが、衝撃に対してあまり厳しい制限の無い貨物列車など機関車牽引列車では自動連結器が並行して採用さ
れる状況となっていて、自動連結器との互換性がまったく無い密着式連結器では運用に支障をきたす場合もありました。このため自動連結器との互換性を持ちつ
つ連結器間に遊びの無い、いわば両者の利点を取った連結器が開発されました。こうして採用されたのが密着自動連結器と呼ばれる連結器で国鉄では主に20系
以降の近代的客車や気動車に採用されて、私鉄では東急や名鉄などに採用されました。密着自動連結器は電車や気動車など動力分散型車両に用いられる例が多い
ためにこれらの車輌では一方向のみに力がかかるわけではないので、連結樹の構造を簡略化することが出来るので自動連結器と比べると軽量小型化したものもあ
ります。また自動連結器と密着連結器双方の連結器を備えた双頭式両用連結器という連結器もありEF63の軽井沢寄りの連結器が有名ですが、私鉄では必要性
が無いためか採用例は無いようで、その代わりに密着連結器にアダプタを取り付けて自動連結器との連結を可能とする中間連結器を用います。ただしこれはあく
までも非常時のためのもので、速度制限がが課せられるなど使用には制限があります。
これまで述べてきたとおり連結器というのは文字通り車輌を連結させるためのものですが、編成を組んでいる車輌では頻繁に連結や解放を行うわけではない場
合があります。こうした事例では複雑な機構を持つ連結器は必要ではありません。特に新性能車以降では2両一組の動力者ユニットを組んで基本的に大掛かりな
検査以外では車輌を切り離さないものも多くなってきています。そのために車輌を繋いだままにしておく連結器もあり、棒連結器や半永久連結器というものが存
在しています。棒連結器は読んで字の如く金属棒で車輌を連結しているもので、簡便な一本の金属棒で車輌間を固定しています。半永久連結器は簡単な連結機能
は持ちつつも固定はボルトやナットを用いて解放てこやレバーを省略して簡易化を図った連結器です。もちろん編成の中に入る中間車間の連結に用いられるもの
で、先頭車両の運転台側に設置されることはありません。国鉄ではユニットを組んだ車輌間でも通常の密着連結器を採用していましたが、末期の205系や
211系からユニット間に限って半永久連結器を採用するようになりました。
会 社 名 | 連 結 器 | 備 考 |
東武鉄道 | 密着連結器 密着自動連結器 | |
西武鉄道 | 密着連結器 | |
京成電鉄 | 密着自動連結器 | |
東急電鉄 | 密着自動連結器 自動連結器 | ※1 |
京王電鉄京王線 | 密着連結器 | |
京王電鉄井の頭線 | 密着自動連結器 | |
小田急電鉄 | 密着連結器 | |
京浜急行 | 密着連結器 | |
帝都高速度交通営団 | 密着連結器 自動連結器 | ※2※3※4 |
相模鉄道 | 密着自動連結器 | |
名古屋鉄道 | 密着自動連結器 | ※5 |
近畿日本鉄道 | 密着連結器 | |
阪急電鉄 | 密着連結器 自動連結器 | |
京阪電鉄 | 密着自動連結器 | |
南海電鉄本線 | 密着自動連結器 密着連結器 | ※6 |
南海電鉄高野線 | 密着連結器 | |
阪神電鉄 | 密着連結器 | |
山陽電鉄 | 密着自動連結器 | |
神戸電鉄 | 密着自動連結器 | |
西日本鉄道 | 密着連結器 自動連結器 | |
日本国有鉄道 | 密着連結器 |
注1.掲載したものは先頭部の連結器。
※1.自動連結器は新5000系以降の新形式車が採用。
※2.現東京地下鉄(東京メトロ)
※3.日比谷線のみ密着自動連結器を採用。
※4.自動連結器は半蔵門線と南北線が採用。
※5.密着自動連結器に電気連結器を併設。
※6.密着自動連結器は、現在南海本線用の7000系・7100系のみ。
密着自動連結器と密着連結器のどちらかを採用している会社にはそれぞれ理由があります。編成の分割併合が
多い事業者は、連結解結の容易な密着連結器を採用しています。京王はその端緒な例でラッシュ時とデータイムとの編成両数に差が発生して連結解結が行われる
京王線は密着連結器を採用し、終日編成両数が一定な井の頭線は密着自動連結器を採用しています。また京急は乗り入れ先の都営浅草線や京成にあわせて、密着
自動連結器を採用していましたが、社線内列車の分割併合が多いため、現在はこうした作業の容易な密着連結器を採用しています。小田急もかつては相模大野で
小田原方面と江ノ島方面の分割併合が行われていましたが、現在は行われていません。密着連結樹の利点として連結解結が容易だということは前に述べました
が、これは密着連結器に電気連結器という電気システム的に車両同士を繋ぐ連結器を併用しているので連結時にジャンパーなどを別途取り付け作業を行わなくて
も良い点で、その分の作業時間を省略する事ができます。かつてはジャンパー弁などで連結していた電気や空気関連の接続は、近年こうした電気連結器などで行
われている車両はジャンパー線を撤去する場合が多いものですが、そのまま残されているものもあり、前面の無骨さが活かされている編成もあります。このよう
な編成は密着自動連結器でも電気連結樹の併用は不可能ではありませんが、採用しているのは名鉄のみとなっています。当然ながらジャンパー線は残っていても
使われてはおらず、連結されても収容状態のままとなっています。
密着連結器と密着自動連結器を併用している事業者としては東武と南海が挙げられます。このうち南海は現在密着自動連結器を採用しているのは旧式で淘汰対
象となっている南海本線用の7000系と7100系、これらの形式と併結される特急“サザン”だけで、ほかは密着連結器を採用しています。これは南海本線
においてはこれ以外の形式が電気指令ブレーキを採用していて、そのままでは両者の併結は不可能なためで、連結できないのなら連結器を統一しても意味は無い
と判断したのでしょう。かつては高野線の6000系や6100系も密着自動連結器を採用していましたが、現在は密着連結器に換装されています。東武も
8000系など旧式車両は密着自動連結器で10030系以降の新形式は密着連結器となっていますが、後に電気指令式ブレーキを搭載した形式に対して密着連
結器に交換する工事が行われました。ただし10連運用が基本で増解結のない東上線所属の10000系は密着自動連結樹のままで残っている編成もあり、こう
した点は運用上必要か否かで設定されているようです。古い車両が密着自動連結器を採用しているのは、両社ともかつては貨物営業が盛んであったことが上げら
れると思います。東武8000系や南海7000系が登場した時にはまだまだ貨物営業は旺盛で当時新鋭車両で阿多これら東武8000系や南海7000系が直
接貨車を牽引する事は無かったものの、非常時などで他車と併結したり牽引したりする可能性があったりして、自動連結器が標準的な連結器であり、自動連結器
との連結が可能な密着自動連結器が採用されていたのでしょう。
東急や阪急では自動連結器が採用されている例がありますが、これはあくまでも先頭車に使われるもので、固定編成の基本的に増解結は行われないものなの
で、比較的単純な機能である自動連結器を装備しているものと思われます。特に阪急は一部の運用で増解結刃行われるものの、そうした連結する車両を限定し
て、必要な車両のみ密着連結器を装備して対処しています。
基本的に増解結を行ったり編成の分割併合を行うような運用を想定するのであれば、密着連結器をそうでないのであれば密着自動連結器を採用するのがよいで
しょう。特にかつて或いは現在も貨物営業を行っているならば、この方が実感的だと思います。また簡便な連結方法でも密着自動連結器と電気連結器を併用でき
る名鉄式密着自動連結器という例もあるので、無茶というものでもないでしょう。こうして連結器一つをとっても私鉄事業者に歴史の重みや厚みを持たせること
が出来ます。色々と研究を重ねてどのような連結器を採用するかを考えてみるのもよいでしょう。
編成長について
近年大手私鉄で運用されている車両は基本的に編成単位で、もう少し細かくばらしてもユニット単位で一両単位で運用される事はまずありません。これは編成
を統一した方が運用上有利なのと編成単位の方が定期検査の管理に有利だからです。東急東横線など一部の路線で2種の組成が存在する場合も有りますが、これ
らの多くは一部各停停車駅に長編成未対応のホームがあるためで、このため各停運用は短い組成で運用されます。京阪と阪急京都線の一見半端に見える7両組成
も一部駅のホーム長が最大7両なために設定されているもので、特に阪急京都線は奇数組成が7両以外に無いので、7両組成以外がこうした運用に就くと必然的
に減車となってしまいます。相鉄に関しては8両が限界のホームは無く、一時期は10両編成で統一する方向で計画が進んでいたようですが、近年の乗客減少に
よる減益減収でコスト削減をするために一部組成を従来からの8両に抑えているとされています。
会 社 名 | 基本編成両数 | 注1 | 注2 | 注3 | 備 考 |
東武鉄道伊勢崎線 | 2.3.4.6.8.10両 | 10両 | 有 | 有 | ※1 |
東武鉄道東上線 | 2.4.6.8.10両 | 10両 | 無 | 無 | ※2 |
西武鉄道新宿線 | 2.4.8.10両 | 10両 | 有 | 無 | |
西武鉄道池袋線 | 2.4.8.10両 | 10両 | 有 | 有 | ※3 |
京成電鉄 | 4.6.8両 | 8両 | 無 | 無 | |
東急電鉄東横線 | 8.10両 | 10両 | 無 | 無 | ※4 |
東急電鉄田園都市線 | 10両 | 10両 | 無 | 無 | ※5 |
京王電鉄京王線 | 2.4.6.8.10両 | 10両 | 有 | 無 | |
京王電鉄井の頭線 | 5両 | 5両 | 無 | 無 | |
小田急電鉄 | 4.6.10.11両 | 10両 | 無 | 有 | ※6※7※8 |
京浜急行 | 4.6.8両 | 12両 | 有 | 無 | |
帝都高速度交通営団 | 3.6.8.10両 | 10両 | 無 | 無 | ※9※10 |
相模鉄道 | 8.10両 | 10両 | 無 | 無 | |
名古屋鉄道 | 2.4.6両 | 8両 | 有 | 有 | ※11 |
近畿日本鉄道 | 2.3.4.6両 | 10両 | 有 | 有 | ※12 |
阪急電鉄京都本線 | 2.4.6.7.8両 | 10両 | 有 | 無 | |
阪急電鉄神戸本線 | 2.3.4.6.8両 | 10両 | 有 | 無 | |
阪急電鉄宝塚本線 | 2.3.4.6.8両 | 10両 | 有 | 無 | |
京阪電鉄 | 4.5.7.8両 | 8両 | 無 | 無 | |
南海電鉄本線 | 2.4.6両 | 8両 | 有 | 無 | |
南海電鉄高野線 | 2.4.6両 | 10両 | 有 | 有 | ※13 |
阪神電鉄 | 2.4.6両 | 10両 | 有 | 有 | ※14※15 |
山陽電鉄 | 3.4.6両 | 6両 | 無 | 無 | |
神戸電鉄 | 3.4両 | 4両 | 無 | 無 | |
西日本鉄道 | 2.3.4.5.6両 | 8両 | 有 | 無 |
注1.当該路線の最大編成両数。
注2.ラッシュ時増結の有無について。
注3.分割併合が行われる多層建て列車の有無について。
※1.現在、分割併合を行っているのは日光線の「快速」「区間快速」。
※2.東上本線の池袋~小川町間は終日10両が基本。但し東上本線系でも副都心線直通の一部普通は8両。
※3.休日の池袋発秩父鉄道乗り入れ長瀞・三峰口行きが秩父線内で分割併合を行っている。
※4.基本的に8両は各停運用、10両は優等運用に充当。
※5.池上・多摩川線は3両、大井町線は各停用5.優等用6両、目黒線は6両。
※6.11両は“LSE”ロマンスカーの連接車2編成のみ。一般車の
※7.通勤車の分割併合は営業車ではないものの、4+6両の10両組成はあり。
※8.現在、分割併合を行うのは一部の「特急」のみ。
※9.現東京地下鉄(東京メトロ)
※10.各路線ごとの編成両数は統一されている(副都心線と丸の内・千代田線の支線を除く)。
※11.現在、分割併合を行うのは一部の「μスカイ」のみ。
※12.現在、分割併合を行うのは一部の臨時特急のみ。
※13.現在、分割併合を行っているのは特急「こうや・りんかん」のみ。
※14.阪神なんば線のみ最大10両編成、本線は最大6両編成。
※15.阪神本線内では最大両数は6両。
多くの大手私鉄が様々な組成パターンを持っています。これらが単独で運用されるものもありますが、複数の
編成を組み合わせる場合もあります。京王では7000系が10両固定のほかに4両+6両で10連を組みますし、京急では4連×2編成で8両組成を組む場合
もあり、名鉄では現在、急行用の6両固定組成が無いので、4両+2両で6両組成を組んでいます。東武30000系もメトロ半蔵門線・東急田園都市線への直
通運転に際して10両編成で運用されましたが、組成としては4両+6両でした。これは検査を担当していた工場構内が8両までしか対応できなかった事や浅草
駅へは10両では入選できないために、あえて10両固定にはしなかったとされています。地下鉄直通用に2005年に後継の50050系が登場しましたが、
この形式は地下鉄直通に特化し、10両未対応の工場も移転などにより閉鎖されたため、10両固定編成として製造、運用されています。東武30000系は
ラッシュ時の混雑が激しい東急田園都市線において、デッドスペースとなる昼間に封じ込められた運転台が嫌われたという話もありますが、現在では伊勢崎線系
統では6両と4両にそれぞれ分割されての運用もあり、4両+6両のメリットを半蔵門線直通運用から離れた後に活かしています。一方東上線に転属となった編
成は中間にある制御車は付随車とする改造工事が行なわれました。運転台部分の撤去まではされていませんが、書類上は10両固定の組成となっています。
奇数組成の運用が行われているのは東武伊勢崎線系統、京王井の頭線、小田急、東京メトロ、近鉄、阪急、京阪、山陽、神鉄、西鉄となっています。結構な数
の事業者が行っているように見えますが、このうち東武と東京メトロ、阪急神宝線系統はワンマン運転や支線運用が基本となっており、小田急の11両は一部の
ロマンスカーとなっています。本線系統で運用されているのは京王井の頭線、近鉄、阪急京都線、京阪、山陽、神鉄、西鉄となっています。更にこの中で優等運
用が主体となっているのは「急行」が基本的に5両組成となっている西鉄くらいで、そのほかは前述の阪急京都線や京阪のようなホーム長の関係上で主体は各停
運用、山陽は各停運用が主体となっています。京王井の頭線は神泉でのホーム有効長が以前は3両分しかなく、20m級の1000系導入時に駅ホーム改良工事
によって5両分の有効長を確保しています。神鉄は4連と3連の運用が厳密に分かれていませんが、これらの一部に「急行」や「準急」の運用が含まれていて、
特に編成長で種別の区別はしていないようです。西鉄は「急行」が5連で運用されていて、この運用に対処するため急行用の3000形は5両組成と3両組成、
2両組成が存在しています。また一般車の主力形式となる5000形や6000形、6050形にも3両組成があり、6両や7両、8両でも運用されています。
2013年現在、複数の編成を組んだ形での奇数両数の編成は、おそらくこの西鉄の4+3によって構成される7両編成だけと思われます。の近鉄は大阪・名古
屋線系統で3両組成の編成が多数存在していますが、奇数による編成は3連の単独時のみとなっていて複数連結される場合は3両組成×2として6連とするのが
基本のようです。かつて京急でも3両組成が存在していましたが、3両組成最後の800形は順次中間車新造や3両2本を固定編成化して6両組成として3両組
成は消滅しています。
なぜ編成に偶数組成が多いのかはよく判りませんが、恐らくMT車比の奇数に比べて偶数の方が編成両数を変更した際に調整が比較的簡単だからという事が考
えられます。また近鉄特急車では初代ビスタカー10000系がフル編成が7両組成で利用状況に応じて5両や4両で運用されたようですが、この時もMT比率
が変わって走行性能が大きく変化してしまうという問題があったといわれています。また二代目のビスタカー10100系も基本組成が3両でしたが、当初は
10100系同士で2編成6連を組む運用が基本だったので問題は無かったようです。晩年は他形式とも併結しましたが、当時はまだ3連の11400系“エー
スカー”が存在し、運用上はそれほど問題にはならなかったと思われます。また10100系廃車後も12410系が3両組成で登場しましたが、後に4両組成
に変更されています。そして11400系は唯一3両組成の特急車として運用されましたが、奇数組成であることから、複雑な運用を持つ近鉄特急車としては末
期は扱いづらい存在だったといわれています。
近年の名鉄にも3両組成の形式は存在していました。東急から譲渡された3880系、旧性能車の足回りを流用した3300系、新世代のインバータ制御特急
車1600系と2000系が3両組成で登場しました。いずれも単独の運用か同一形式との併結のみを考慮していたので、他形式との共通運用した際の編成両数
や走行性能の差異を考慮する必要はありませんでした。3880系や3300系など旧性能車は性能確保の意味合いから2M1Tとなっていました。3880系
の3両組成は東急時代からのものを踏襲したためと思われますが、3300系の場合は置換え予定のAL転換クロスシート車4両の運用をロングシート車3両と
してラッシュ時と閑散時の運用を共通化するのと、主として運用された広見線の新可児駅1番線の有効長が3両であった事が要因と考えられます。後者の
1600系と2000系は計画時の座席指定特急の利用状況から考慮されて3両組成となりました。ただ旧性能車とは性能が格段に違うので1M2TとMT比率
は逆転しています。最大2編成連結をして6両でも運用されましたが、1600系は有料特急政策の見直しにより3両のうちク1600を廃車の上で残り2両は
一部特別車2200系と同等の特別車に組み入れられ、2000系は中部国際空港の輸送力増強のために中間付随車を増結して4両組成となって、名鉄から奇数
組成の編成は消滅しました。
編成両数を全部統一するのは一番簡単なことです。しかし架空鉄道を作っていくものとしては、それでは少々物足りないものになると思います。基本組成数を
決めて、そこからハンディとなる要素を加えて組成両数に制限のある種別や運用を設定したり、最近ではあまり見られなくなった分割併合運用を盛り込んでみた
りするのが、変化を付ける主砲としては良いでしょう。奇数組成もあまり見られないからといって、偶数組成だけに拘る必要はありませんし、現実には少ないか
らこそ逆に上手に理屈づけて奇数組成の編成を積極的に採用していくのも面白いのではないでしょうか。ホーム長の制限のようなものが無くても、利用客の数で
も理由としては十分に成り立ちます。
まず決めるべき事はその鉄道或いは路線の最大編成長でしょう。これを決めなければ前述の制限され
たホーム長や編成の両数などが設定できません。最大両数は8両か10両が大半となっています。これはラッシュ時に運転されるもので、一部の私鉄ではディタ
イムはこれより減車されて、最大10両編成は8両や6両に減り、最大8両編成は6両や4両に減車されます。こうした場合には最大両数の固定編成では当然対
応できず、複数の編成で組成されます。これら最大編成両数の多くは2編成が組み合わされていて10両編成だと8両+2両や4両+6両、8両だと4両+4両
や6両+2両で組まれたりします。6両の場合でも4両+2両で組成されたりしますが、3両組成の編成が存在する路線なら、もちろん3両+3両でも6両が組
成されます。また2編成以上で最大編成が組成されることもあり、阪神なんば線ではラッシュ時の増結用に2連を送り込みさせるために、2連だけで構成された
10両組成もラッシュ前後に見られたりします。また6両や8両でも2両組成のみで構成された2両+2両+2両の6連や2両+2両+2両+2両の8連も一部
に存在しますが、こうしたものは所定の編成が定期検査や事故で使用できなくなっていたり、前述の阪神なんば線関連のような送り込み運用で行われるやや特殊
な理由のある組成パターンとなっている例が多いようです。こうして様々な組成を考えて固定編成や2~6連の編成がどれだけ必要か、或いは一部編成に於いて
やや特殊な7両や5両などの編成が発生したりする事も考慮したりするのも面白いかと思います。
ラッシュ時とディタイムの旅客需要が大きく異なる事例も存在します。首都圏や関西圏ではそれほど大きな差は発生しないようで、ラッシュとそれ以外の時間
帯では大体2~4両の両数差が標準となっていますが、大手私鉄ではないものの、JR東海中央西線の名古屋~中津川間の場合はラッシュ時は10両組成を組む
運用があるものの、ディタイムは4~6両が平均的な組成となり、しかも6両固定の編成が存在しません。このため10連を組む場合は3両+3両+4両で10
連を組んだりしています。こうした柔軟な組成も架空鉄道では楽しい組成であると思いますし、変わった組成が行われる理由を考え出すのも楽しいでしょう。ま
た全部の編成を最大編成両数にするのはなかなか難しく、仮にラッシュの運用全部を最大編成両数に揃えたならば、ラッシュ以外は検車区や留置線で眠る増結編
成が大変多くなり、かえって無駄が多くなってしまいます。現実ではラッシュ時だけ営業運転を行う運用には二線級の旧型車などを使ったりしますが、それでも
限度があります。ラッシュ時とディタイムのバランスを考えて一番混みそうな運用に最大編成列車を投入し、少々何とかなりそうな列車にはやや短い組成の列車
を入れてやりくりする必要があります。多少上級者向けではあるとは思いますが、こうした運用を考えるのも架空鉄道の醍醐味だと思います。
複数の編成を組み合わせて編成を組成する場合、編成間は貫通扉と幌を使って通り抜けを可能としています。
しかし京急と名鉄では非貫通先頭車の車両が大多数を占めており編成間は通り抜けが不可能となっています。これは貫通扉が設置されている京急1500形や名
鉄6000系がそれぞれの形式同士が併結しても扉と幌を使うことはありません。京急1500形の場合は地下鉄線乗り入れ用の非常扉の意味合いが強く、併結
相手の600形や新1000形などは併結に適していない前面扉の配置であったりするので、通り抜け用の貫通扉としては使用されていません。
基本的に多くの大手私鉄が編成貫通化を実施していて、複数編成を併結した場合でも扉と幌を用いて通り抜けを可能としています。こうした事例は編成内での
移動を容易にすることにより、乗車人員の平均化や下車する際に階段近くへと事前に車両間を移動する事を容易にする意味合いもあると思います。実際にはラッ
シュで車内が混雑している時にはこうした移動はほぼ不可能かと思われますが、選択肢はあるに越したことはありません。そして地下鉄線と相互乗り入れを行っ
ているのであれば、編成の貫通化は必須となってきます。これは事故や災害などで車外に脱出しなければならない場合、狭いトンネル内では側面の扉からは出ら
れない場合があるためで、名鉄でも栄町付近の地下線は地下鉄線準拠なため、2両+2両の編成は中間に入る運転台部分も貫通幌を使って通り抜けが出来るよう
にしていました。ちなみに現在は瀬戸線用車両は全編成4両固定編成化されて、このような運用は見られなくなってしまいました。
少数の限定された組成両数の編成など
本線では6~10両と長い組成で運用される路線系統でも支線では2~4両と短い組成で運用される例が良くみられます。こうした場合は短い組成用の運用が
組まれますが運用本数は他と比べれば少なく、それに比例して必要な編成本数も少なくなります。こんな時には必要編成本数+予備編成(1本から2本)程度を
用意するのが普通の対応ですが、本線増結用の予備編成を兼ねるものもあります。京王7000系の2両ワンマン車4編成のうち2編成はラッシュ時増結にも使
われていますし、近鉄のワンマン車は非ワンマン運用の単体運用や増結運用などにも使われています。西鉄の7000/7050系は甘木線と天神大牟田線の大
牟田寄りのワンマン運用のほかに2両×2両の4連として天神大牟田線のツーマン本線運用にも就いています。余談ながら同じ運用系統に就くワンマン車なが
ら、4扉の7000系と3扉の7050系は原則として連結する運用には就きません。名鉄築港線ではかつては3両組成の編成しか入線する事ができずにHL車
を3両に組成した特別編成が誂えられ、本線系の運用からは完全に分離されましたが、当初から3両組成の車体更新AL車である3300系が築港線運用に就
き、築港線に限定されていない形式となりました。ただ3300系は築港線に限定されていないとはいうものの、築港線運用に就くと昼間に間合い運用は特に無
く、運用的には限定的なものだったといえます。現在では新5000系が築港線の運用に就き3300系と同様に形式としては同線専用ではないものの、運用的
には限定されたものとなっていました。ただ多くの私鉄ではワンマン車はワンマン運用に限定して西武など増結運用や本線系の運用には就かないのが基本になっ
ているようですが、架空鉄道ではラッシュ時にはワンマン区間でも一般車を投入して組成両数を乗客数に合わせて増やし、所定の運用を追い出されたワンマン車
は幹線系の増結車として本線のターミナルへも入線するような運用を組むのも興味深いものです。またラッシュ運用の終端とワンマン運転を行っている支線の起
点駅が離れている時には、ワンマン車を何編成かを繋いで2両+2両+2両などの返却運用を組む事もできますし、これを「回送」とするか営業列車とするかと
いうのは、各々の架空鉄道の事情で設定できます。
増結などの運用ではありませんが、東武の3両組成のワンマン用車の800系と850系はワンマン運用開始前に2編成連結して6両で伊勢崎線浅草口の運用
に就いていました。名鉄では蒲郡線と広見線のワンマン区間用に6000系のワンマン仕様が5編成存在しますが、両線は名鉄の東西方向の両端といえるほど離
れていて予備編成が1本だけなので、西尾線、名古屋本線、犬山線の各運用に連結される形で行き来します。
かつて東急1000系のうち4両+4両で8両を組成していた編成が1本だけ存在していました。これは東横線で運用する場合には併結して8両で運用で、目
蒲線で運用する場合には4両2本に分割していました。1000系の制御車前面には扉が設置されていますが、貫通扉として使用していなかった事と運転台の広
さを確保するために中心よりも助手席側によった左右非対称でしたが、8両時に中間に封じ込まれる制御車は車両間を移動出来るように前面扉が中心に位置して
いました。基本的に目蒲線で運用されていたようですが、幹線系でも運用できるように配慮された編成も存在します。このような例をヒントにして、ホーム有効
長の関係で3両しか入線できない支線を設定して幹線系の基本編成が6両だったとしたら、その支線専用の3両組成を必要編成数+最低限の予備車にプラスアル
ファの予備車を作り、幹線で3両+3両の6両組成を間合い運用で走らせるというのも、車両運用を複雑化させて趣味的には面白いといえるでしょう。
ワンマン運転の編成
近年、大手私鉄でもワンマン運転を行う事例が増えてきました。地方の閑散区間だけでなく都心の支線区間でもワンマン運転が行われるようになり、近鉄名古
屋線や西鉄天神大牟田線のように一部区間ですが「普通」がワンマン運転を行う事例もあります。ワンマン運転には二種類あって、無人駅にて車内で運転士が切
符を回収或いは運賃を精算する地方型ワンマン運転と、停車駅が全て有人駅か切符券売機と自動改札器を完備した無人駅で運賃を精算してもらい、車内では運賃
を取り扱わない都市型ワンマンが存在しています。前者は運転士が運賃を扱うために無人駅では出口が一番前の扉だけとなってしまいます。このため乗客の移動
を少なくするために編成張は1~2両とするようにしています。これに対して後者は運賃は駅で取り扱うことになるので、乗降は従来どおりに取り扱うことが出
来るので、3両以上の運転が可能となります。ただ運転士による安全確認が難しくなるので、あまり長い編成では行わない傾向があります。ただ明確に取り決め
はなされておらず、東京メトロ副都心線では20m車10両編成でワンマン運転が行われています。副都心線ではホームドアが完備している上に、モニターに
よって後方車両の安全確認を行い、規模の大きい駅ではモニターに加えて駅員も運転士の目を補完して安全を確保しています。東京メトロでワンマン運転を行っ
ているのは副都心線のほかに南北線と千代田線の北綾瀬支線で、いずれもホームドアが設置されていて安全面には配慮されています。
車内で運賃を線産するタイプのワンマン運転は大手私鉄では意外と少なく近鉄名古屋線系統と南大阪線系統の一部「普通」列車、特殊狭軌線、名鉄の蒲郡線と
広見線の新可児~御嵩間のみとなっていて、名鉄では6000系の2両組成の一部を、近鉄でも1240系や6432系など2両組成をワンマン装備を施して運
用しています。両者とも専用の形式を用意しているわけではなく、従来形式をワンマン使用に改造して充当しています。近鉄では近鉄では専用形式を導入してい
るように見えますが、僅かな仕様変更でも形式を変更したりするので、広く形式を纏めると従来からの形式の中に入ります。その他の都市型ワンマン区間でも東
急多摩川線や名鉄三河線ではホームドアの変わりにセンサーを取り付けて車掌や駅員のいない駅での安全性を確保しています。
外見上はまず[ワンマン]の表示が目立つポイントでしょう。緑色の地に白抜き文字で表示されて運転台か助士席側に掲出されています。また場合によっては
乗降扉付近にも掲出されていますが、乗降扉付近には“乗り口”と“降り口”、そして“締め切り”を表示するモニターが設置されていたりします。また運転士
と乗客がやり取りを行うマイクや半自動扉の扉開閉ボタンも近年に導入または改造された車両には取り付けられていたりします。車内には整理券発行器や運賃
箱、運賃表と運転士が後方を確認するためのミラーが目立つ点です。運転室直後に運賃箱を設置するためにこの付近の座席を撤去する場合もあり、整理券発行器
とミラー以外は運転台とその至近の乗降扉までに改造が集中しています。
都市型ワンマン仕様の車両は車内清算型のワンマン車と比較するとそれほど目立った変更点は見受けられません。これは客の乗降の仕方に関しては通常のツー
マン運用とあまり変わらないからで、変更があるとすれば運転士が安全を確認し乗務負担を軽減するためのミラーや扉扱いスイッチのレイアウト変更に留まるか
らです。また近鉄の都市型ワンマン用車両や京阪本線系統のように、最大の外見上の特徴になる[ワンマン]表示も独立した表示装置を取り付けたものもありま
すが、京王のようにワンマン表示を種別の部分で表示したり、阪神武庫川線のように行先表示の中にワンマン表示を混ぜ込んだりしています。更には阪急今津線
と甲陽線、東京メトロ各線ワンマン運用などのようにワンマン表示を行っていない事例もあります。このように外観ではより一般車との区別がつきにくくなって
いるので、あえてワンマン表示を取り付けるとか或いは逆に一般ツーマン仕様と変化させずに編成表だけで区別させるという方法をあえてとる考え方もあるで
しょう。車体上での違いで差別化するのではなく東武8000系をワンマン化した800系と850系のように編成長を変えるのも良いでしょう。この辺りはそ
の路線の事情により理由をつけるのが良いと思うので、車両だけで考えるだけではなく路線そして会社の歴史や環境を細かく設定した上でワンマン車両を投入す
るのが良いでしょう。
ゆったり快適 クロスシート考
特急など優等列車の座席は有料列車ならまずクロスシートです。京王や京成、京急(快特用のクロスシート車はあり)、東急と料金不要列車での最優等種別と
して一般列車で「特急」を用いている事業者ではロングシート車が急行や普通と区別無く運用に就いています。こうした事業者は関東で多くみられ、関西では料
金不要でも特急専用のクロスシート車を導入しています。しかし関東でも東急には車端部にボックス式のクロスシートが配置されていたり、ロングシート主体の
阪急神宝線や「特急」が設定されていない相鉄でも一部形式に編成中の数両に転換クロスシートを採用していたりと、意外と多くの事業者がクロスシートを導入
しています。
有料特急では昭和時代のビジネス系特急は970ミリ辺りのシートピッチが多くみられました。シートピッチとはクロスシートの座席と座席の間隔です。今と
比べると数字的にやや狭く感じますが、居住性と定員を勘案したもので、主として着席定員を重視した結果だと言えるでしょう。また小田急のSE車や東武
300系列、名鉄パノラマカーなどリクライニングをしないものは比較的シートピッチを詰めることが出来ます。こうしたシートは背摺りが傾かなくても良好な
座り心地が考慮されているものもあり、リクライニングしない割にはそれほど悪くないようです。リクライニングするものでも、近鉄の12000系初期特急車
や近年でも小田急のMSE、東武200系等、900ミリ代で設定されているものも見受けられますがこれらもどちらかといえば通勤やビジネス向けの特急車で
より多くの着席定員を狙った車両だといえるでしょう。
一方観光向けの特急列車は広いシートピッチを確保する傾向があるといえます。東武1720系DRCとその後継である“スペーシア”は1100ミリ、小田
急の特急「あさぎり」用の20000形RSEの1000ミリ、南海30000系の1000ミリと1000ミリクラスがみられます。近年ではビジネス向けで
もシートピッチを広くとる形式も増えてきていて、西武10000系“NRA”の1070ミリや小田急30000系“EXE”、京成AE100形の1040
ミリ、新AE形の1050ミリ、名鉄1000系以降の1000ミリ、近鉄アーバンライナー系列の1050ミリ、南海は10000系“サザン”の980ミリ
から後継の12000系“サザンプレミアム”では1010ミリに拡大されています。特に完全な観光輸送に特化した近鉄50000系“しまかぜ”は1250
ミリという座席としてはJR東日本の新幹線ファーストクラス車“グランクラス”の1300ミリに次ぐものとなっています。
初期の昭和30~40年代だと950ミリ程度のシートピッチでリクライニングはないか、あっても簡易式のものが自然なのかもしれません。もちろん豪華な
ものを採用しても良いですが、徐々にステップアップをしていくもののまずは初歩段階とか、一般車のロングシートとの差別化としてのクロスシートと考えて、
あえてそれほどグレードの高くないクロスシートを採用してみるのも良いかもしれません。
座席は外見しかデザインしない場合、必要以上に考える必要は無いかもしれません。しかし車両の窓割りはシートピッチに影響されることも多く、それを元に
デザインされるといっても良いでしょう。座席一つに窓一つというのは窓を座席ごとに占有できるという魅力がありますが、やや余裕が感じられずに狭いという
印象を与えてしまうのか、前後二つの座席に窓一つが良くみられ、近年の大手私鉄で座席個別の窓を配置しているのは南海50000系“ラピート”にみられる
くらいです。
一般車と特別車など等級の違う車両が編成の中に存在する場合はシートピッチなど内装が大幅に違い、デザインが揃わなくなる事があります。アーバンライ
ナーは前述のようにシートピッチは同一なので、窓割りはあまり違いを感じることはありません。小田急の“RSE”のように特別車は二階建てで車両構造から
して明確に異なったものとしています。南海50000系“ラピート”は窓の大まかなデザインは同一ですが、ピッチが違ってもあまり目立たないのは楕円とい
う、ほとんど例の無い形だからでしょうか。
逆に特別車と一般車のデザインを極力合わせようとして失敗してしまったのが名鉄1200系です。特別車は前述の前後2つの座席に1つの窓を配置する典型
的なものですが、一般車は900ミリのピッチのシートを扉間に3列配置したうえで、そこに横長の寸法は違うものの特別車と同じ様なデザインの窓を戸袋間に
2つといった窓割りにしました。3列の座席に2つの窓では、上手に席と窓をあわせることが出来ずに3列真ん中の座席は窓間の柱の部分にあたり、一番前の座
席は窓が少し掛かるだけで大半は戸袋部にかかるという、少し無理のある形となってしまいました。後継ともいえる特別車と一般車混結の2200系では連接窓
風にして編成としての窓デザインを統一しつつ、窓の柱を座席配置にあわせることでちぐはぐさを解消しています。
特急料金や座席指定料金を徴収する車両でより良いサービスを提供するとしたらリクライニングシートと広いシートピッチを盛り込むことが重要だといえま
す。リクライニングシートは1960年代に入ると大手私鉄では急速に拡大していきました。リクライニングしないシートが導入されたのは東武では300系列
は当時有料の「急行」として運用された1800系が起源なためで、特急の1720系との差別化が目的だったのかもしれません。現在は有料急行列車は「特
急」化されましたが、料金面で割安に設定されています。小田急は車体の軽量化が主軸に考えられていたので、座席の機能が複雑になり重量も増えるリクライニ
ング化は見送られました。座席一つは大した重量差は無くてもそれがたくさん集まるとそれなりの重さになってしまいます。その代わりに適切な背面角度を設定
したのでさほど窮屈にはならなかったといわれています。名鉄は有料「特急」として追加料金を徴収していたのではなく、あくまで座席指定料金としていて、運
用によっては料金不要列車にも充当されたのでリクライニングシートを導入しなかったものと思われます。ただこれでは誤乗や料金分のサービス向上を感じさせ
なかったためか、後にシートのクッションを厚くゆったりとしたものやヘッドレストを取り付けたりして、一般列車との差別化を行いましたが、間合いに一般運
用にも投入されるのは相変わらずでした。1965年のキハ8000系列1等車(後のグリーン車)や1984年の8800系はやや特殊なものとして、通常の
有料特急にリクライニングシートが導入されたのは1988年の1000系が最初となりました。これも初期には「急行」以下の運用では一般車として開放され
ましたが、現在では一部特別車編成が特別席を設定していない運用に充当された場合には特別車は締切となって乗車できないようになっています。
この他の座席の改良としてはバケットシート化やゆりかごシート化があげられます。バケットシートは座面を凹ませる事によって座る位置を安定させたもの
で、まずグリーン車などの上級サービスを提供するシートに採用されて、普通座席車や料金不要のクロスシート車にも浸透してきました。ロングシートにもバ
ケットシートが採用される例もありますが、こちらは着席位置を明確にして座席定員をきちんと守らせる意味合いの方が大きく、クロスシートのものとは理由が
若干異なります。後者のゆりかごシートは背面を倒した時に座面後部が沈み込むもので座席が体を包み込むような感覚となり座り心地が向上するものです。現在
採用しているのは近鉄だけですが、名鉄の2000系以降の特別車にリクライニング使用時に若干座面が下がるシートを採用しています。似たような構造に座面
が背面と独立して前後に動く構造のシートがありますが、これはJR東日本を始めとした一部のJRのみが採用しています。座席外観も厚みを増すとクッション
が大きく見えるせいか立派になったように感じます。しかし京成新AE形のように無駄をそぎ落としたような薄い座席も存在し、座席の厚さと座り心地は一概に
比例するとは限らないようです。この辺りはテキストによる解説で補うのも良いかもしれません。
会 社 名 | 形式など | シートピッチ | 座席形態 | 料金形態 | 備 考 |
東武鉄道 | 100系 | 1100ミリ | リクライニングシート | 有料 | |
1720系 | 1100ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
200系など | 985ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
300系など | 960ミリ | 回転クロスシート | 有料 | ||
50090系 | 1000ミリ | 回転クロスシート | 有料 | ※1 | |
西武鉄道 | 10000系 | 1070ミリ | リクライニングシート | 有料 | |
5000系 | 930ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
京成電鉄 | AE形(2代) | 1050ミリ | リクライニングシート | 有料 | |
AE100形 | 1040ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
AE形(初代) | 970ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
小田急電鉄 | 50000形(VSE) | 1050ミリ | リクライニングシート | 有料 | |
60000形(MSE) | 983ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
30000系(EXE) | 1000ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
20000形(RSE) | 1000ミリ | スーパーシート | 有料 | ||
1100ミリ | レギュラーシート | 有料 | |||
10000形(HiSE) | 970ミリ | 回転クロスシート | 有料 | ||
7000形(LSE) | 970ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
3100形(NSE) | 970ミリ | 回転クロスシート | 有料 | ||
3000形(SE) | 1000ミリ | 回転クロスシート | 有料 | ||
京浜急行 | 2100形 | 850ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ※2※3 |
名古屋鉄道 | 2000系など | 1000ミリ | リクライニングシート | 有料 | |
1000系 | 1000ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
1200系 | 900ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ※4 | |
7000系 | 900ミリ | 転換クロスシート | |||
6000系(貫通型) | 750ミリ | 固定クロスシート | 料金不要 | ※5※6 | |
6500系(鉄仮面) | 800ミリ | 固定クロスシート | 料金不要 | ||
6800系(金魚鉢) | 840ミリ | 固定クロスシート | 料金不要 | ||
近畿日本鉄道 | 12000系など | 980ミリ | リクライニングシート | 有料 | |
22000系 | 1000ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
22600系 | 1050ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
21000系 | 1050ミリ | リクライニングシート | 有料 | ※7 | |
50000系 | 1250ミリ | プレミアムシート | 有料 | ||
5200系 | 910ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ||
L/Cカー | 970ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ※8 | |
阪急電鉄 | 6300系 | 900ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | |
9300系 | 950ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ||
京阪電鉄 | 8000系 | 920ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | |
3000系 | 900ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ||
南海電鉄 | 50000系 | 1030ミリ | レギュラーシート | 有料 | |
1200ミリ | スーパーシート | 有料 | |||
30000系 | 1000ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
10000系 | 980ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
12000系 | 1010ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
阪神電鉄 | 9300系 | 910ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ※9 |
山陽電鉄 | 5000系 | 980ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ※10 |
西日本鉄道 | 8000系 | 900ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | |
3000形 | 910ミリ | 転換クロスシート | 料金不要 | ||
日本国有鉄道 及びJR |
0系新幹線普通車 | 940ミリ | 転換クロスシート | 有料 | ※11 |
0系新幹線グリーン車 | 1160ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
在来線特急普通車標準 | 910ミリ | 回転クロスシート | 有料 | ||
在来線特急グリーン車 | 1160ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
300系等新幹線普通車 | 1040ミリ | リクライニングシート | 有料 | ||
300系等新幹線グリーン車 | 1160ミリ | リクライニングシート | 有料 |
※1.デュアルシートを採用し定期では座席定員制の有料列車「TJライナー」のみクロスシートで運用。
※2.夕ラッシュ時下りで運転される「京急ウィング」のみ座席定員製の有料列車。
※3.転換クロスシートながら乗客によるシートの転換は行えない。
※4.名鉄の一般車の転換クロスシートは、基本的に900ミリ。
※5.6000系列の固定クロスシートは中間扉を境にした集団離反式。
※6.6000系貫通型はは全車ロングシート化改造が行われクロスシートは現存しない。
※7.レギュラーシートもデラックスシートもシートピッチは同一。
※8.クロスシートとロングシートに変換できるデュアルシートで、基本的にラッシュ時はロングシート。
※9.6両編成のうち中間車4両がセミクロスシート車。
※10.一部シートは集団離反式の固定クロスシート。
※11.国鉄/JRのものは代表的なものを掲載。
特急料金などを徴収しない一般車では基本的にラッシュ時に有利なロングシート車が主体で、クロスシート車
はあまり多くありません。しかし名鉄では長らくクロスシート車を普通列車から特急列車まで幅広く採用していました。これは競合相手が自家用車であったた
め、よりハイグレードのサービスを提供したいという考えによるもので、大半の形式が2扉転換クロスシートを採用して座席定員の確保に努めていました。こう
した施策が石油危機の際の利用客が激増した時にラッシュ輸送に対応できなくなり、通勤輸送用に1976年に3扉の6000系を導入しました。しかし室内は
固定式ながらクロスシートを採用しています。ただこれはラッシュの際の乗降に支障が無いように小型の座席としたため、1.5人掛けシートと呼ばれるくらい
に小さく窮屈なもので、後にモデルチェンジされた6500系や6000系の鉄仮面タイプでは寸法を若干大きくしクロスシートの席数も減らし更にモデルチェ
ンジをした6500系や6800系の後期形ではヘッドレストも付いた大形なものとなりましたが、最終的にはロングシートとなりました。6000系も初期の
小型シートタイプはロングシート化されて6500系などの鉄仮面タイプも一部がロングシート化されて、その後の3500系や3700系、3100系はロン
グシートで登場しています。名鉄一般車のクロスシートは終焉を迎えたかと思われましたが、2004年にステンレスで登場した3300系、3150系はロン
グシートと転換クロスシートが扉を挟んで交互に並んだ独特なレイアウトとなっています。これは名古屋市営地下鉄上飯田線に乗り入れる名鉄小牧線専用に製造
された
300系で初めて採用された座席配置で、ラッシュ時の利用客流動に配慮しつつ長距離客用にクロスシートも設置するというもので、名鉄が一般車用のクロス
シートをまだ諦めていなかったと思わせ、一部特別車用の2200系の一般車にも採用ざれましたが、前述のステンレス一般車の3300系と3150系は第2
次車から再びロングシートに変更されてしまいました。このように名鉄の例をみるとクロスシート車とラッシュのバランスの取り方が難しいと感じさせられま
す。
他の事業者の料金不要クロスシート車は、近鉄を除き最優等列車を主体に投入されています。近鉄は3扉転換クロスシート車5200系を導入しましたが、こ
れは「急行」主体で大阪線と名古屋線にて運用されています。どちらも長距離列車ですが、大阪線ではラッシュでは使い辛いという事と、クロスシートを望む遠
距離の客は時間的に早い「特急」を利用する傾向があることから、一部の編成は名古屋線系統に転属となり、関西での活躍は縮小傾向にあります。名古屋線は名
鉄と同様に自家用車との競争が激しい上に、近年ではJRの快速「みえ」の攻勢もあり、「急行」の運転とサービス強化のため5200系が主力として活躍し、
ラッシュ時も日中と同じく活躍しています。近鉄全般に関しては異端車である3扉クロスシート車は扱い辛く、この後の長距離対応車は4扉でロングシートとク
ロスシートを変換できるL/Cカーで対処しています。
京急や京阪、西鉄、かつての阪急京都線では2扉転換クロスシート車が導入されていましたが、日中の運用では高いサービスを提供できますがラッシュ時には
乗降に支障があるため、通勤通学客が集中する本来の優等運用、特に朝の上りには充当できず、当該時間帯が終わるまで運用に就けない京急や京阪、普通や支線
運用に就ける西鉄、日中より中間停車駅の少ない運用に就けた阪急があります。昔の名鉄のような場合でもラッシュ時には運用に苦慮し、現在残っている
5700系や5300系もラッシュでの優等運用から徐々に撤退している現状では、混雑時に2扉クロスシート車を上手く流す方法を考えなければなりません。
こうした点が東武東上線に於いて朝のラッシュ運用と夕方・夜の有料着席列車“TJライナー”を両立して運用するためデュアルシートを採用させる契機になっ
たといえますが、特に東上線では過去に有料優等列車“フライング東上”を運転した際、春や秋の一部シーズンの休日、しかも雨天時には運転しなかった列車用
に、専用のクロスシート車を置くという贅沢というか無駄の多い車両運用を行っていたので、こうした運用は避けたいという思いもあったのかもしれません。
一般車として運用される転換クロスシート車には2扉のほかに3扉も存在し、名鉄1200系一般車や1800系列阪急9300系、京阪新3000系、西鉄
3000形、かつての京急600形や京阪9000系がこうした3扉クロスシート車で2扉車では捌ききれないラッシュ時の優等運用を担っていますが、それで
も利用客が集中する優等列車には対応できないものも多く、京急600形と京阪9000系はロングシート化され、西鉄3000形は2扉車の8000形と同様
に普通運用を中心に運用されている状態となっています。こうしたクロスシートの特性により着席した人の床占有面積が大きくなってしまい、相対的に大多数を
占める立席客のスペースが少なくなってしまいます。これがクロスシート車をラッシュ時に投入しない理由なのですが、この他に座席配置による混雑の違いもあ
ります。座席数を増やすために扉付近ギリギリにまで座席を持ってくるとどうしても出入り口のスペースが少なくなってしまいます。すると乗車できる人数が減
るばかりでなく、駅で乗降する際に移動がし難くなり、停車時間が長くなってしまいます。JRですが221系では体質改善工事時に扉間の座席を一列ずつ減ら
して扉周辺のスペースを確保したり、京阪新3000系のように座席の横の配置を2+2から2+1として立ち席スペースを確保する例、名鉄2200系一般車
のように、そこから更にロングシート部を拡大するなど、ラッシュ時とデータイムの輸送の両立に腐心するものもみられます。
阪神と山陽の直通特急は朝の梅田行き、夕方の梅田発着の列車には阪神のロングシート車が優先的に入るよう車両運用が設定されていています。また阪神のク
ロスシート車は中間車4両にクロスシートを配置し、山陽車は一部編成に2+1の座席配置を採用して、ラッシュ時の混雑緩和の工夫をしています。かつて阪神
ではクロスシート車が混雑に対応できずにロングシート化されたこともありクロスシート車の運転には慎重でしたが、特に混乱なく受け入れられたようです。
“TJライナー”の例も挙げましたが、一般車向けクロスシート車は基本的に料金不要のものとして運用されますが、帰宅ラッシュ時に有料列車として用いら
れる場合があります。こうした例は前述の東武東上線「TJライナーと京急の「京急ウィング」の2例があり、いずれも通常では一般列車として運用されている
クロスシート車が使われています。東武ではデュアルシートの50090系を用い、この「TJライナー」でのみクロスシートとなって運用されます。「京急
ウィング」は2扉の2100形が用いられます。この2100形は表にもあるとおりシートピッチは850ミリと各事業者と比較してもかなり狭いものとなって
いますが、これは転換クロスシートの使用でありながら、客では座席方向を転換出来ない仕様となっており、向かい合わせにはしない事で数字上は狭くても問題
なく使用出来るようにして、有料列車運用にも耐えられるように配慮されています。
会 社 名 | 形式など | シートピッチ | 備 考 |
東武鉄道 | 6050系 | 1525ミリ | |
西武鉄道 | 4000系 | 1640ミリ | |
東急電鉄 | 9000系 | 1590ミリ | ※1 |
京浜急行 | 600形 | 1330ミリ | ※2 |
相模鉄道 | 7000系 | 1530ミリ | ※3 |
8000系 | 1580ミリ | ※4 | |
近畿日本鉄道 | 2600系 | 1320ミリ | ※5 |
2610系 | 1400ミリ | ※5 | |
日本国有鉄道 及びJR |
近郊型車両前期型 | 1420ミリ | ※6 |
近郊型車両後期型 | 1490ミリ | ※6 | |
急行型車両 | 1470ミリ | ※6 |
※1.中間車車端に設置、車内は基本的にロングシート。
※2.新造当初はセミクロスシートだったが、更新工事時にロングシート化。
※3.最終編成の一部車両にのみ試作的に設置。
※4.中間車2両にクロスシートを設置。
※5.現在はロングシート化、或いはL/℃ 化、廃車されていて、現存しない。
※6.標準的なもの。形式や時代によって違いが見られる。
私鉄車両においてボックス式クロスシートは少数派です。ロングシートや転換クロスシートと比べると着席定
員が多いのが特徴で、このため東武と西武では中長距離用に2扉ボックス式クロスシートを採用して着席定員を増やしています。両者はまた末端の閑散区間での
ローカル輸送でも運用されています。
京急の場合は着席による居住性とラッシュ時の混雑を両立させるため乗降扉廻りをスペースを大きくとり、そして新造当初の目玉であった可変シート“ツイン
グルシート”を導入して対処しました。“ツイングルシート”はラッシュ時に一部のシートを収納して立席定員を増やすことが出来ましたが、しかし構造が複雑
で座り心地も良くなかったので運用開始当初以降だんだんと使われなくなりました。恐らくクロスシート車の2000形とロングシート車の1000形や
1500形の間を狙い、両者の長所をあわせた存在と思われますが、都営浅草線に本格的に乗り入れるようになってクロスシート車の運用がどうしても難がある
と思われるようになり、登場後10年ごろからロングシート化改造が行われ、600形のコンセプトを受け継いだ新1000形も新造時からロングシート(初期
車は車端部にのみボックスシートが存在)で登場しています。
相鉄は中間車2両にボックス式クロスシートを導入しています。乗客サービス向上のためとされていますが、混雑と兼ね合いのため、10両中5両目と8両目
の2両のみとなっています。こうした処置は阪急神宝線の8000系などにも採用されていて、神戸寄り2両に転換クロスシートが配置されています。ただJR
東日本の車体と共通化した10000系以降はオールロングシートとなっていて、阪急も同様に後に登場した9000系や1000系はオールロングシートと
なっています。
近鉄は4扉20m車が長距離運用に就くために、居住性を向上させるべくボックス式クロスシートを採用しました。しかし4扉車に扉間2ボックスのクロス
シートは無理があったようで、シートピッチや幅の狭さや肘掛が無いなど窮屈なつくりで、ロングシートよりも座り心地は悪いとも言われていました。このため
更新工事などでロングシート化やL/C化されて近鉄での固定クロスシートは消滅し、長距離でのクロスシートサービスは3扉転換クロスシートの5200系や
L/Cカーに取って代わられました。
この他ボックス式クロスシートで見られる形態が車端部クロスシートです。これはロングシートの通勤車両で一番橋の扉から妻面までの部分にボックス式のク
ロスシートを配置したもので、東急9000系や東京メトロ南北線9000系、京急2000形3扉ロングシート化後の編成、南海1000系や2000系等に
みられます。前述の相鉄8000系や9000系、阪急8000系にみられる、ロングシートの利点を削ぐことなくクロスシートのサービスを提供したいと考え
られたものといえ、乗客の乗降の流れがあまり大きくない車端部を選んで設置したものと思われます。また大手私鉄の通勤車両にトイレを設置したものはあまり
多くはありませんが、こうしたトイレの出口付近にロングシートを設けると、トイレを利用する人と目があったり内部が目に入ってしまうといった可能性がある
ので、クロスシートとして視線を逸らす工夫がされていたりしますが、近年ではこの部分を車椅子スペースにして座席自体を設置しない事例が増えてきていま
す。
ボックス式クロスシートは見知らぬ相手と向かい合って座ることもあり、しばしば敬遠される傾向もあります。このため片側だけを向いた固定式シートといっ
たものもあり、一車両で前後半分ずつ向きを固定したレイアウトが主流となっています。この向きが車両中心へ座席方向が向いているのを“集団見合い式”、逆
に中心に背を向けた座席を“集団離反式”と呼んでいます。集団見合い式シートは京急の2000形(改造前の2扉時代)、集団離反式シートは名鉄6000系
列や山陽3000系列と5000系のそれぞれ一部車両にクロスシート車が採用しています。また京急の2100形は転換クロスシートですが営業運転中は乗客
が自由に座席方向を転換できないので、固定クロスシートの一種ともいえるでしょう。
クロスシートは通勤通学を主体とした鉄道ではあまり必要とされていないものと思います。京王では現在クロスシート車はありません
し、東急や相鉄も主体はロングシートです。東武や西武もクロスシートは有料特急と長距離列車、京成は有料列車のみです。京急はクロスシート車に意欲的です
が、それでも600形はロングシート化されました。過去には名鉄が通勤列車でもクロスシート車で運転していましたが、途中で無理が生じてセミクロス化やロ
ングシートの通勤車を導入して現在に至るので、今の地方私鉄はともかく大手私鉄ではクロス者主体でダイヤを組むのはよく策ではないでしょう。立席スペース
が減ってしまいますし、座席から扉まで移動するのもロングシートと比較して時間が掛かります。短区間で乗降を繰り返す旅客が多数だと、駅頃の乗降に時間が
掛かってしまい、結果としてトータルの運転時間が増えることとなります。このため設定した路線の性格を良く考えた上でクロスシート車を導入するかを検討す
ると良いでしょう。基本的に料金不要の列車でクロスシート主体の編成を導入するのならば、比較的長距離で乗客の入れ替わりが少ない優等列車が運行される区
間や乗客の少なってくる末端の区間で運用するのが一番自然だと思われます。前者はラッシュ時には利用客が集中する傾向にあるため、最混雑列車には多扉ロン
グシート車を入れてクロスシート車は利用客の少ない普通列車か、入れ替わりの少ない支線での列車、或いは日中の列車よりも停車駅を減らして乗降を行う回数
を少なくする「通勤○○」という種別を設定するなどをして運用の妨げにならないように配慮すると良いでしょう。また夕方運行されている着席保証列車のよう
に出庫を兼ねたホームライナー的運用煮付けるのも良いかもしれません。一番無難なのはラッシュ時には車庫から出さずに運用に就けない事ですが、これではあ
まり面白みが無いと思います。運用が難しい料金不要クロス車を上手い具合にダイヤに盛り込むのは架空鉄道作成者にとって腕の見せ所といえるでしょう。
車両の足回りの基礎 台車の変遷
大手私鉄の車両は車体長の差こそあれ、基本的にボギー車で構成されています。最近の例外
として名鉄が閑散区間に導入したキハ10形気動車や事業用として若干残してある貨車がありますが、これはごく僅かの存在で本当に例外と言って良いでしょ
う。ボギー車は車体から車輪を支える部分が独立していて、この部分が台車と呼ばれています。台車は乗り心地に直結しているので、各社ともその改良に心血を
注ぎ時代とともに新しい技術が投入されてきました。
まず戦前戦中、そして終戦直後辺りまではたいていの車両に釣り合い梁(イコライザ)を車軸間に介した台車が主流で、国鉄や大手私鉄では必ずこのイコライ
ザ式の台車を履く電車が在籍していました。アメリカのブリル社やボールドウィン社が採用し、これらをライセンス生産したり模倣したりして、日本でも日本車
両や住友、川崎車両など多くの車両製造会社などが採用し、標準的な台車として戦前日本の鉄道に爆発的に普及しました。この台車の外見的特徴は弓状やU状の
イコライザが車軸箱を結んでいることで、国鉄では17m級国電によく使われていたDT‐10、後に東武や西武にも払い下げられたTR‐11、私鉄では日車
D型などが挙げられます。前述の弓型とU字型の形状は、私見ですが弓型は戦前製の古い小型車両、U字型は大型車両といったイメージがあります。イコライザ
によって線路への追従性が良く、路盤の弱い線路に強い利点があるものの、肝心のイコライザは重量があるので路盤や台車に負担をかける欠点がありますが、当
時は線路規格が軟弱の路線が多かったので、欠点よりも利点が勝っていました。
またもう一つの終戦直後まもなく辺りの大きな台車の流れとしてDT‐13系が存在しますが、これは大手私鉄としては国から割り当てられたモハ63が履い
ていたもので、モハ63と関係なくこの系統の台車を採用したのは後の近鉄の一部となる参宮急行電鉄2200系の付随台車くらいです。これは保守性に難があ
るのと、強度がやや不足しているからとされています。しかしながらモハ63を受け入れてその後の通勤型の標準とした東武ではDT-13系列を改良して通勤
車だけにとどまらず、優等用の5700系にも
戦後社会が復興してくると、国鉄や大手私鉄は技術向上に努めました。特に車両の近代化に着手しはじめました。この大きな転機が吊り掛け駆動からカルダン
駆動化ですが、これに合わせるように台車も新しいシステムを採用し始めました。おそらく車体同様に重量のある台車を軽量化したいという思惑と徐々に路盤の
改良も行われて台車の追従性を以前ほど重視しなくても良くなったためだと考えられます。いずれにしてもいつまでも基本設計が50年も前の台車を使うわけに
もいかないので、この辺りが新しい世代の台車を採用する時期だといえるでしょう。鉄道会社や車両製造会社の各社がこぞって新設計の台車を開発採用していく
ことになり、今までほぼ一辺倒だった台車が様々な機能を持たせて進化していくこととなります。
<続く>