私と大石作品

出会い

私が大石先生の作品にであったのは、今は亡き(に等しい)「COMIC BOX」での「ほんダラ・ガイド」(本紹介コーナー)に載っていた「核物質(プルトニウム)護衛艦隊出撃す」を観て「あっ面白そうだな」と思った事に始まります。この時はそれだけで済んだのだけれど、次の号の、池田憲章氏の「ENTERTAINMEMT NOVEL ニューエイジ」というコーナーに大石先生のインタビューが載っていました。その中で何より面白い人だなと思ったのは、プロフィール欄に「趣味は”大戦略”自慢はメガドライブのソフトをほとんど持っていること」と書いていたことです。で、まず書店に並んでいた「原潜海峡を封鎖せよ」を買って読みました。この作品を読み終わっての感想は中々良いなでしたが、続いて「核物質(プルトニウム)護衛艦隊出撃す」を読んで「これだけスピード感のある作品を書ける人はいない!!」と大感激して虜になってしまいました。それ以来初期作品を求め、古本屋巡り、果てには東京、神田の神保町まで足を伸ばしたのでした。

大石作品の魅力

それは、作品自体のもつスピード感、細かくリサーチされた世界観、痛烈な社会に対する皮肉、周りの状勢に振り回されながらも強い自衛隊、それでいて結構呑気な登場人物(呑気なのは自衛官が多い)等が挙げられます。今まで自衛隊ものというと、198X年 北海道侵攻とかクーデターものばかりで主人公もなにか暗い過去を持っていたりします。特に高年齢の作家に多いようです。(H山先生とか)
また作品の方向性に対してちゃんとポリシーを持っている点も好感が持てます。以前、仮想戦史作家が第二次大戦物のそれぞれの世界観などについて書いたアンソロジーが文庫でありましたが(KKベストセラーズだと思う)そのなかで「私は、いわゆるIF戦記は書かないことにしている。しかし、断れない仕事もあり仕方なくこの原稿を書いている。もうこの手の企画物は書くつもりはない。初めてプレイボーイを買ったときのような罪悪感を感じている」と書いていました。(今手元にその本が無いのでうろ覚えで書いていますが、最後の文は間違いなく書いてあります)大石先生によると第二次大戦物を書かない理由は、小手先で歴史を弄っても歴史は変わらない、そして日本が勝ったところで世界は良くならない、かえって悪くなること、また本土決戦があった場合、九州に米軍が上陸したら、鹿児島出身の大石先生はこの世に産まれてはいないだろうといっています。こうした流行に流されないスタンスがファンを引き付ける魅力だと思います。