音無隊長の華麗なる休日<すこーぷ犬>

今日は平日。
しかし!隊長は休日だった。
音無誠司二等陸佐は家に帰っていた。
だが、奥さんは友達とかねてよりの約束で夕方までお出かけ。子供は学校。という訳で、家に一人である。とりあえず不機嫌指数25%


「・・・・・暇だ」

リビングのソファーに寝転がり、ぼーっとしながら呟く。世のオヤジというものは休日のすごし方を知らない。それは音無ぱぱも同じである。
ふと、TVを見ると埃があった。


「掃除下手だな」

面倒くさそうに起き上がり、掃除をはじめる。
掃除・・・・これは自衛隊でみっちり仕込まれている。故に、音無ぱぱには、大の得意科目である。(戦闘を除く)
外を見ると、天気がいい。
早速布団を干す。
ふかふかの布団はいいものだ。不快指数0%
すると、隣の奥さんが、

「あら、だんなさん。今日はお休みですか?」

と、垣根越しに声をかけてきた。(ちっ!)と思いつつ、答えた。

「ええ、休日出勤でしたから」

「自衛隊も大変ねえ。家のだんなったら(以下30分話が続く)なのよ。あらやだ、無駄話が過ぎたかしら。じゃ、また」

恐怖のマシンガントークから開放されたとき、彼は1週間の戦闘より精神疲労がたまっていた(爆)げに恐ろしきは、おばさんパワーである。不快指数90%

「やれやれだな」

そう呟きながらふと思った。
司馬もああなるんだろうか?
・・・・やめよう、マチェット持って台所に立っている姿しか思いつかん。
そして、またストレスが一つ。


そのころ、習志野の司馬さんは
「ハクション!」
超特大のくしゃみをした。

「あのひと、何いってんのかしら(怒)」

突然のくしゃみに驚いた土門くんは

「何ですか?突然。ああ、音無さんにでも噂されたんですか」

「どーせ、マチエットもって台所に立つとか考えたのよ」

そのとき其処にいた全員が

「そのとうりじゃないのか!?」

と思ったが口には出さなかった。が、一人ばかり例外がいた。
やはり土門である。


「ははは、司馬さんらしいかも」

「ぬわんですってー!」

そして投げ飛ばされた。固まったみんなの頭脳を駆け巡った言葉。

“雉も鳴かずば撃たれまい”


再び音無邸
11時までにすべての掃除を終わらせたパパは、またも暇になった。


「草刈でもするか。」

黙々と草刈を続ける彼に空腹感が襲う。
ジャスト12時。
台所に行き冷蔵庫を開けるときちんと昼のおかずが鎮座していた。
里芋の芋の煮っころがし、卵焼き、ほうれん草のおひたし。
ガス台の上には味噌汁。
そう、音無隊長は、日本食が大好きなのである。不快指数0%


TVを見ながら黙々と食事を平らげて食後のお茶を楽しんでいると電話が鳴った。

「あ、あなた?お昼食べました?」

「食った。」

二、三言話して電話を切りTVをつける。
お昼のニュースでは百里基地の話題をしていたが、映像は何年も前の映像だった。


「・・・・ファントムだろうがそれは。」

軽い突っ込みを入れチャンネルを変える。
のんびりとした平和な昼下がり。
暇すぎて少々不機嫌。不機嫌指数25%


3時にもなると洗濯物及び布団を回収。
きちんと洗濯物をたたむのはやはり自衛隊仕込み。
夕方、奥さんが帰宅。


「あら、洗濯物畳んだの」

「ああ」

そしてその日は、音無パパはふかふかの布団で幸せに爆睡したのであった。

これが隊長の華麗なる休日の過ごし方である。

そして翌日。
幸せな休日を過ごした音無隊長は、いつもより早く職場へついた。
そして、土門君へ渡さなければいけない書類を思い出し土門君の机へと向かう。
すると、彼は見てはいけないものを見てしまったのである。
それは、にっこりと微笑んで鼻歌を歌いながら土門君の椅子にC4を仕掛けているビーナス・リーダーの姿だった。

「まったく、昨日は大人気なかったわね。大体、中華包丁がの歯が欠けるのがいけないのよ。やっぱり豚骨は硬すぎたわね」

そう呟き部屋を去る司馬さん。
どうやら、数日前に中華包丁の歯が欠けて本当にマチェットを使ったらしい。
彼女が去った後音無隊長はやれやれと思いながら全てを悟った。

とりあえず細工を開始。だって、始末書書くのが面倒だから。
そして、土門君でもわかるようかつ、司馬さんに気が付かれないように
(こればかりは隊長も苦労した)少しの細工。その後書類をおき部屋を去る。
傍目からはそう見えないがご機嫌度50%(爆)


だって、土門君に気が付かれたときの司馬さんの表情を想像すると少し楽しそうだから。

「多少は表情変えるだろう」

そう思いながら自室に帰る。
しかし、その目論見は見事に外れるだろうと思い直す。不機嫌度50

その日、「土門君殲滅作戦」に失敗した司馬さんは数週間後からはじまった作戦でその鬱憤をすっきりと晴らしましたとさ。

しかし、みんなに


「マチェットを持って台所に立つ」

姿を深く脳裏に焼き付ける結果になったのは彼女の自業自得かもしれない。