大石英司作品ミニコラム1

サイレント・コア小火器変遷<片田健>

サイレント・コアは核施設テロ対策として、音無三佐(設立当時の階級は不明だが、昇進が遅いと言われる描写があることと、政治的にも高度な部隊なのでこの時すでに三佐と思われる)80年代後半に設立された特殊部隊です。陸上自衛隊の中でも特に精強と云われる第一空挺団内に部隊は存在し、給料以外の装備一式は科学技術庁や各電力会社から賄われています。そのため他の一般部隊では考えられないような贅沢且つ実戦的な装備が配備されており、このため装備年鑑にも載っていない装備が大半を占めています。代表的なものとして小火器についてスポットを当ててみましょう。

サイレント・コアの初登場は“戦略原潜レニングラード浮上せず”で東富士演習場での訓練シーン(バスジャックを想定したと云うより、移動体に対する襲撃の訓練でしょう)にまで遡ります。そして音無隊長は観戦していた米軍人にベレッタM93Rを装備していると説明しています。ベレッタM93Rはイタリア製で米軍の採用しているM92Fとは共通するものがあります。しかしM92Fが標準的な拳銃を目指したのに対し、M93Rは対テロ用に特化した拳銃となっており、一度引き金を引くと3連射する3点バースト機構やバースト射撃時の反動を制御するために銃身の下に左手で保持出来るグリップがついています。拳銃と短機関銃の中間に位置する自動拳銃と云う存在となっています。現実に一部特殊部隊(特に警察系)も装備していると云われています。サイレント・コアも原発内という短機関銃すら取り回しがし辛い非常に限定された空間での戦闘が想定されるため、M93Rが採用されました。また弾薬も原発内機器や人質への被害を最小限に留めるため、貫通力の低いシルバーチップ弾を使用しています。これはダムダム弾のようなもので、貫通力が低い代わりに命中した体内で滅茶苦茶に変形するため殺傷力が高く、戦争時の最低限の法律であるハーグ協定で使用が禁止されています。ただサイレント・コアなどの特殊部隊が活動するのは戦時ではなく、しかも相手がテロリストであるためハーグ協定には縛られないと想定されているのでしょう。

当初は原発関連施設の警備だけだったサイレント・コアですが、やはりと言うか戦闘の何でも屋として様々な戦場に駆り出されます。平原などでの正規軍との戦闘も考慮され、“第二次湾岸戦争”では短機関銃のMP5やアサルトライフルのHK41も登場します。MP5が10ミリ口径なので、これらは“北欧孤島奪回戦線”での銃器考証から来ているモノと思われます。これにFATランチャーを含めた装備で“自由上海支援戦争”を戦い、また“第二次湾岸戦争”時と同じような装備で“環太平洋戦争”“アジア派遣戦争”の激戦を潜り抜けます。この頃では屋外戦が主であるため、M93Rはかなり影が薄くなってきてしまってますが。

ところが、このあと意外な変化が起こります。それは“原油争奪戦争”においてサイレント・コアが自衛隊の制式拳銃であるSIG・サウエルP220を装備している点です。この事に関しては本文中に特に説明は無く、またM93Rに重大な欠陥が見つかったと云う話も老朽化が進んでいるとも聞かないので、大きな謎になってます。ただこれまでの自衛隊による様々な(サイレント・コアシリーズにおいての)実戦経験から、P220も実戦の洗礼を受けた兵器となってサイレント・コアも採用したと云う事なのでしょうか?それとも番外編だからと言うただそれだけの理由なのでしょうか?

今後、サイレント・コアシリーズとして話が展開する事があるのかわからないので気になるところです。

 

サイレントコアの七不思議(1)-澄也の憂鬱-<レッドマーキュリー>

「本を読むしか芸のない男」こと天弦澄也氏と、サイレントコアの一個小隊を率いる司馬光さんが、なぜ夫婦なのか。このことは大石作品七不思議の一つに数えられるほど、読者(主に男性)の間では長い間謎でした。このコラムでは、仮説も交えてこの疑問を解き明かしていきたいと思います。

1.人物像

まずは二人がどのような人物なのか、作品から想像してみましょう。

司馬光一尉
いわゆる大石作品のシリーズものに出てくる「実在したら恐い美女」(例・シーデビルの桜沢副長)の代表格で、「この娘にはサブ・マシンガンなんか要らない。相手の目の前でフルフェイス・マスクを取って見せればいい」(by音無隊長)という格言を引用するまでもなく、「常軌を逸している」美女だということが分かります。また、中国拳法の有段者かつ師範の免許も持っておりサイレントコアで一番強いとも言われております

天弦澄也一尉
色白で、眼鏡をかけていて、下戸で、学究肌ということ以外はまるで駄目な人で、中国問題が作品に関わらなくなった途端に影が薄くなってしまいましたしかも、婚約者のことを「あんな人殺しども」と思っており(“アジア覇権戦争”1巻より)物事を客観的にしか見ない性格だという事がわかります。(アナリストですからね)

2.仮説

α・脅迫説

まず、この仮説では天弦氏は遊びで司馬さんとつきあっておりました。彼には結婚する気など更々なく、まして養子縁組など考えてもいませんでした。
そして、上海の一件も片づきいつもの平和な日々を送っていたある日…


光  「澄也さん、うちの父が話したいことがあるんですって」

半ば強引に中華街のとある中華レストランに連れてこられた天弦氏は見慣れね地下室に入れられました

全景 「やあ、天弦君。不愉快な思いをさせてすまない、これが一番手っ取り早い方法なんでね」
天弦 「それで、話とはなんですか?」
全景 「まあ私もこのくらいの歳になるとそろそろ後継者のことを考えるようになってね」
天弦 「はあ、たいへんですね」
全景 「そこでだ、君にあとを継いでもらいたい」
天弦 「…し、しかしお嬢さんとはまだ結婚という話までは行っていないんですが」
全景 「まあ、こういう仕事をやっているといろんなことが耳に入ってきてねえ。君、これまで交際
    してきた女性が結婚話を持ち出した途端に一方的に別れてきたそうじゃないか。まさか、うち
    の娘と遊び半分でつき合っているんじゃないだろうな」


全景氏はおもむろにトカレフを机の上に置きました。

天弦 「ま、まさかそんなことがあるはず無いじゃないですか」

本当の事を言われた天弦氏に選択肢はありませんでした

全景 「そうか、よかった。事と次第によっては君は二度と地上に出られなくするつもりだったか
    らな。それじゃあ今日から私のことをお父さんと呼びなさい」 


かくして、天弦氏は婿養子になったのでした。

β・逆眼鏡っ娘理論説
司馬さんは根っからのメガネ好きで、美少年育成SLGで眼鏡っ子を選択するのは当たり前で、お見合いも相手が眼鏡をかけていないという理由だけで断り続けていました。そんなある日、司馬さんは「メガネ、メガネ」と呟きながら六本木で獲物を探しておりました。その時、彼女の視界に一人の男性が入ってきましたその男性はフレームなしの眼鏡をかけており、色白でしわ一つ無い肌で、顔は童顔で、(実際、30越えていましたが)大学生だと言われても無理はなく、モデルと言われても納得するほど整った顔でした。そう、彼こそが天弦澄也氏だったのです。ストライクゾーンど真ん中にこられた司馬さんは手段を選ばずに、かつ気づかれないように天弦氏に接近していきました。
 鈍感な天弦氏がようやく気づいたのは結婚届に自分の名前を書き込んだ時だと、言われています。


γ・奥様は小隊長説
この仮説では、婚約するまではごく普通でしたが…。あるところに一組の夫婦がいました。奥様の名前は光、旦那様の名前は澄也。二人はごくふつうに恋をして、ごくふつうに婚約し、ごくふつうに結婚をしました。でも、ひとつだけ普通ではないことがありました。


それは、奥様はSOFの小隊長だったのです。

初めの頃は天弦氏にはなんの不満もありませんでした。しかし、上海で血まみれの戦闘服姿の恋人を見てからは、段々と何かがおかしくなっていったのです。部隊が、海外に出て行くにつれ、婚約者のやっていることがわかり始めた天弦氏は、婚約期間をのばすといった姑息な方法で、婚約者が頭を冷やしてこういう事から足を洗ってくれるようにと考えていたのですが、頭を冷やすどころか、ますます白兵戦のシーンは長くなり、シリーズのお約束シーンになっていきました。こうなると平凡な結婚生活など望めないと思った天弦氏は、家庭を顧みず趣味である戦史研究に没頭していったのです。


3.まとめ
なんだか三つともなさそうな話ですが、私のような素人ではこれが精一杯です。それに、最近の作品では天弦のての字も出てきませんから、やはり二度と作品に登場しないキャラクターなのかもしれません。しかし、いつの日か作品内でこの疑問が解き明かされる日を心待ちにしています。

 

音無隊長の年齢

“戦略原潜レニングラード浮上せず”にて、自ら指揮する陸自特殊部隊「サイレント・コア」と共に登場し、その後、数多くの作品に登場して幾多の戦場を潜り抜け、更には2020年の近未来である最新刊“新世紀日米大戦”まで、登場してその強烈な存在をアピールした音無誠次隊長。
それにしても彼は一体、何歳なのでしょう?その謎を読者が検証します。

<雪風のパパ>

同期どころか、後輩にまで先を越されている音無隊長。防大卒業生(通称B)という事は判っているので、ちょっと計算。

現役で防衛大学校に入校したとして、卒業時は22才。候補生学校(半年)+実地研修(半年)…23才で三尉任官。んでもって、

三尉→二尉… 2年 …25才
二尉→一尉… 3年 …28才
一尉→三佐…4~5年…32~33才

『一選抜』(いっせんばつ)は8割の期間にて昇任の様ですけどね(^_^;)
『サイレント・コア』を提唱(設立)した位ですから、ここまでは普通に昇任…ひょっとしたら一選抜?…していたと思われます。

さて、ここからが問題

1999年夏コミOFF時に<片田健>さん、<ポン太>さんとも話をしたのですが(夜の部集合時間前の喫茶店内にて)

『音無は40代後半ではないだろ~か?』

新世紀(元一佐)から逆算したのは、確か<ポン太>さんだったと思います。<片田健>さん曰く「きっと営門一佐…退職時に一階級昇任…に違いない」
環太平洋5巻にて、音無は二佐に昇任しておりますが、通常ですと、三佐→二佐…3~4年…35~39才…と云う事は、音無は「三佐を10年以上」務めてたって事になる(^_^;)
定年まで二佐だったのかなぁ~(定年前にトリプルC社に転職したのかな?)


“40代後半”で“戦闘部隊の指揮官”と言うと、私は『キリヤマ隊長@ウルトラ警備隊』を思い浮かべてしまいます(笑)

<レッドマーキュリー>

“戦略原潜レニングラード浮上せず”で、QE2に降下したテッド・グレッグ大尉。彼の奥さんが出てくるシーンがちょうどサイレント・コア初登場のシーンの直前で、そこでグリーンベレーの司令官(名前忘れた)が「父親は自衛隊の三佐で…」と言っていることから、どうも大尉の奥さんは音無隊長の娘であるという仮説を立ててみました。
この推測の場合、
“戦略原潜レニングラード浮上せず”はだいたい1990年頃の話なので、この時隊長は45歳前後であると考えられ、“アジア覇権戦争”の頃は50代前半、2020年には75歳前後であると考えられます。
しかし、よくよく考えてみると、はたして75歳の老人がアーウェン37を撃てるのか?なんでこんなに昇進が遅いのか?などなど疑問が出てきましたので、あくまでも仮説としてお考え下さい。

<ポン太>

私が音無隊長が四十代後半と推測した理由は、

その壱
新世紀二巻で戦闘を経験している。いくら鍛えているとはいえ、70代以上のおじいさんには無理でしょう。

その弐
同じく新世紀(巻数忘れた)のハワイ税関のシーン。頑固そうな爺さんを演じていることから、あの雰囲気を出すのに50代ということはないと思う。以上の理由から、新世紀パールハーバー奇襲時点で65歳前後と推測。従って20年前、環太平洋~アジアの頃は40代ではないかとの推測がされる。

…つうのが「音無四十代説」の推測理由です。

<むねくん>

“環太平洋戦争”の頃は、わたしは確たる根拠もなくなんとなく43歳という、いやに具体的な年齢を無意識に思い浮かべておりました。“核物質護衛艦隊出撃す”の頃は38歳だと勝手に・・・^^; で、私の考える退職状況は以下の通りです(というか、無意識に勝手に思っていたことですが)

“アジア覇権戦争”終了数年後、その功績により一選抜で一佐昇進の話が出てきます。しかし、そうなると、いよいよサイレントコア隊長を続ける事が困難になります。
そこで、とりあえず昇任話は「蹴った」のですが、そうそう何度も蹴るわけにはいきません。
そんな時、トリプルC社という会社が設立されるという噂を聞きつけます。「俺は現場が好きなんだ。このまま自衛隊にいて書類と印鑑に埋もれる生活はイヤだ。傭兵派遣会社か・・・。行きたいな(ぼそっ)」と思っていた矢先。なんと先方から勧誘が来たではないですか!(^^)!


「渡りに船とはこの事でぃ」ということで、お偉方の制止を振り切り、48歳で依願退職。営門一佐(^_^)v」

う~ん、相変わらず妄想癖は直ってないようだ(爆)

セーラーXの使い道<can>

1.艦船の出入港支援をセーラーXに任せる!

2.船の士官室係(茶坊主)とか、食卓番(皿洗い)などをやらせる。

理由:人と違って文句言わないし、24時間働かせられるし、いいと思うんだけどなあ……

難点

1.部下がロボットじゃ楽しくないだろう>隊長、司令。
2.ロボットに給仕されてもなあ……
(幹部のプライドなんて役に立たないものはボラの餌にしてしまえ)